書店支援団体に3300万円の寄付、「謎の贈り主」は米アマゾン
ロンドン(CNN Business) 英国とアイルランドでこのほど、書店関係者が独立系書店を支援するチャリティー団体への寄付を募ったところ、専用サイトを通さずに直接25万ポンド(約3300万円)が寄せられる出来事があった。「謎の贈り主」の正体は米インターネット通販大手アマゾンだった。
寄付の呼び掛けは複数の書店関係者が行ったもので、新型コロナウイルスによる業界の苦境を乗り切るため、資金支援を求める内容。新型コロナの流行に伴い、本屋などの不要不急の業種は軒並み閉鎖している。
そこで、ロンドンの書店関係者がクラウドファンドを設立し、書籍業界で働く人の支援団体「ブック・トレード・チャリティー」に寄付するよう呼び掛けた。この団体は書店や出版社、流通業者、印刷業者に資金を提供している。
集まった寄付金は6万8000ポンド以上。全国書店協会は3万ポンド、出版社のペンギン・ランダムハウスも5万ポンドの寄付を表明した。
そんな中で17日、同団体のもとに突然、25万ポンドの寄付が寄せられた。
ブック・トレード・チャリティーのダン・ヒックス最高経営責任者(CEO)は23日、CNNの取材に対し、謎の贈り主はアマゾン社だと確認した。
ヒックス氏によると、アマゾンから電話で、専用サイトを通さずに直接寄付したいとの申し出があり、寄付のことは「目立たない形」にしておきたいとの意向を伝えられたという。
アマゾンをめぐっては書籍市場の混乱を招いたとの批判もあるものの、ヒックス氏は寄付を歓迎。「毎年の収益に加えて、年間収益の半分の額を受け取るのだから、我々の仕事にとっては大変な追い風になる」と話している。
アマゾンは23日の声明で、寄付を行ったことを明らかにした。