トルコ製ドローン「バイラクタルTB2」、ウクライナの抵抗の象徴に

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展示会でデモ飛行を行うトルコ製ドローン「バイラクタルTB2」/Muhammed Enes Yildirim/Anadolu Agency/Getty Images

展示会でデモ飛行を行うトルコ製ドローン「バイラクタルTB2」/Muhammed Enes Yildirim/Anadolu Agency/Getty Images

トルコ・イスタンブール(CNN) 「あのぴかぴかの戦車は火だるまに。バイラクタル、それは新しい熱狂」――。そんな歌詞の歌がウクライナで人気を博している。同国の抵抗を象徴するシンボルの一つになっているドローン(無人機)にささげられたものだ。

「バイラクタル」の人気はすさまじく、ウクライナ人がこのトルコ製ドローンにちなんだ名前をペットにつけるほどだ。先月には首都キーウ(キエフ)の市長が、市内の動物園で生まれたばかりのキツネザルを「バイラクタル」と命名。外務省はキーウの警察犬訓練センターにいる子犬「バイラクタル」の写真をツイートした。

欧米やウクライナの当局者は、トルコの「バイラクタルTB2」がロシアの攻撃への抵抗に貢献していると称賛する。報道によると、英国のウォレス国防相は先月議員らに対し、同機がロシアの「火砲や補給線」に「弾薬を撃ち込んでいる」と指摘し、ロシアの進軍を遅らせ妨害するために「非常に重要」との見方を示した。

中高度長期耐久型(MALE)ドローンの一種であるTB2は、すでに長年にわたって実戦運用されてきた。トルコ軍は2014年からイラク北部とトルコで同機を使用。近年では、リビアやナゴルノ・カラバフの紛争で戦況を変えるのに一役買ったと評価されていた。ただ、ロシアの軍事目標を攻撃する映像がウクライナ軍によって公開され拡散したことで、同機は再び脚光を浴びている。

海軍分析センターのロシア研究部門で非常勤上級研究員を務めるサミュエル・ベンデット氏は、バイラクタルの成功の要因は「ロシア軍を狙う能力」のみにとどまらず、「広報戦略の勝利」でもあると語る。

ベンデット氏によると、バイラクタルは期待通りの性能を発揮したものの、「無敵ではない」という。オープンソースの証拠からは、一部は撃墜された可能性があることがうかがえる。

バイラクタルは「ウクライナ軍と民間人が非常にうまく進めているSNS作戦の一部だ」と同氏は指摘。バイラクタルによる攻撃の動画が拡散したことで、「大きな士気高揚と素晴らしい戦術的勝利」につながっているとの見方を示す。

TB2や他の無人航空機(UAV)の開発により、トルコはドローン業界の勢力図で米国や中国、イスラエルと並ぶ位置に躍り出た。

ロシア、ウクライナ両国と防衛・経済面で緊密なトルコは、おそらく最も有名な輸出品の一つとなったバイラクタルを宣伝することに慎重な姿勢を見せる。トルコのドローン売却はウクライナ侵攻前からロシアにとって大きないら立ちの種となっており、ロシア大統領府のペスコフ報道官は昨年後半、トルコのドローンが地域の不安定化を招くと警告した。

トルコ高官は8日の記者会見で、ウクライナへのドローン売却についてロシアから繰り返し抗議を受けたと説明。「ロシアからは以前も今も抗議があるが、我々はすでに返答済みだ。これらは民間企業の製品であり、購入は戦争前に行われていた」と述べた。

ウクライナは19年、TB2を購入した最初の国となり、これまでに少なくとも36機を発注した。先月には、国防相が新たな納品の到着を明らかにした。

バイカル・テクノロジーの最高技術責任者(CTO)セルチュク・バイラクタル氏は、政治よりも自社の技術について熱心に語る。同氏はロシアとウクライナの重要な仲介役として浮上したトルコのエルドアン大統領の娘婿でもある。

バイラクタル氏は自身の名を冠したドローンにささげられた歌を聴いたことがあり、ウクライナのSNSで流行していることも知っているが、ウクライナ情勢に言及するときは慎重に言葉を選んだ。

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