トルコ、サウジ記者殺害事件の訴訟をサウジに移送 幕引きの可能性
(CNN) トルコの裁判所は7日、サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏殺害の罪に問われている容疑者26人の欠席裁判をサウジアラビアに移送すると決定した。事実上、この裁判を終わらせる可能性がある。
2018年にイスタンブールのサウジアラビア領事館で起きたカショギ氏の殺害では、サウジアラビアと同国の事実上の支配者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子に対する批判が世界的に高まった。
トルコ当局によると、ムハンマド皇太子に批判的であることで知られていたカショギ氏は、サウジアラビアの「最高位級」によって承認された作戦によって領事館内で殺害され、遺体はバラバラにされた。米情報機関は皇太子自身がこの作戦を承認したと評価したが、皇太子はこの疑惑を否定している。
今回の審理移送決定の1週間前には、容疑者の逮捕状が執行されず供述が取れないことから、トルコの検察官は約2年にわたる裁判を中断しサウジアラビアに移送するよう要請していた。
カショギ氏の婚約者と弁護団はCNNに対し、この決定を不服として上訴すると述べた。サウジアラビアの不透明な司法制度では裁判は立ち消えになる可能性が高いと主張した。
国境なき記者団(RSF)は、この決定を「衝撃的」だとした。「正義への希望は打ち砕かれたが、RSFはあらゆる手段でこの容認できない不処罰に挑み続ける」とツイートした。
トルコのエルドアン大統領は現在、サウジアラビアとの関係修復を模索している。先月には同国とともに「具体的な方策」をとりたいとも発言していた。