混沌の中の静寂 モロッコの宗教学校を巡る旅
こうしたマドラサの多くは現在ではもう教育の拠点となっておらず、観光客向けに開放されている。その重要性は建築の美しさだけにとどまるものではない。12世紀にアラブ諸国で広まって以降、マドラサはモロッコ国内の高等教育にとって鍵となる施設だった。
カリキュラムの中心となっていたのはイスラム教の聖典コーランだ。人口の約99%がイスラム教徒のモロッコでは、若い学生がコーランを暗記しイスラム法の詳細を教わる場所であるマドラサが尊敬を集めていた。学生はこのほかアラビア語の文学作品や論理学、数学も学んでいた。
マドラサは慈善団体の資金援助を受け、生徒に無償で教育を提供。建物の上層階は学生寮となっていた。20世紀になるとマドラサとは違い女性も教育を受けることができる西洋式の大学が普及するなか、権威を失っていった。
記者はモロッコで、フェズのブーイナニア、中部マラケシュのベンユーセフ、北部サレのアブアルハサンの3大マドラサを訪れた。いずれも1300年代に、イスラム教スンニ派のマリーン朝の時代に創設されたものだ。