台湾最後の「漁火」漁船、伝統絶やさぬよう奮闘
この伝統漁法を維持するため、地域住民と当局の間でさまざまな計画が検討されている。だが簡さんは、最も早急にやるべきことはこの地域に魚を取り戻すことだと指摘する。
「観光地としてアピールするにしても、事業の収益性を高めるにしても、すべては魚次第だ」「魚がいなければ、観光客を楽しませることもできないし、収入を増やすこともできない」と簡さんは述べている。
その一方で、簡さんと徐さんはタッグを組んだ。徐さんは夏の間、観光客や写真愛好家のためにこの伝統漁法を紹介する4時間半のツアーを実施している。観光客は、新北市の隣に位置する基隆市の碧砂漁港から別の船に乗り込み、漁をする簡さんの漁船近くを航行する。
観光客を乗せた船が追いつけるように、漁船は通常よりもゆっくりと航行。漁師も通常よりも長く一カ所にとどまり、美しい光景をカメラに収めることができるようになっている。
観光客の目の前で捕獲された魚は、その後ほとんどが海に戻される。これにより将来的には魚の数が増えることを徐さんは期待している。彼はこのビジネスモデルが、伝統漁法を存続させる機会となることを願っているという。
「魚が戻り、この伝統漁法が十分な利益を生み出せるようになれば、新たに漁師も増え、伝統が復活するかもしれない」と徐さんは述べている。