翼なしで飛ぶような速さ、世界最速の列車10選
5:JR東日本E5系(日本)
日本は1964年、新幹線という新たな高速鉄道のコンセプトを世界に広め、今でも新幹線の速度、座席数、安全性の限界を押し広げ、世界のリーダーであり続けている。
現在、多くの新幹線は最高時速300キロで運行しているが、JR東日本の新幹線E5系は、東京から新青森を結ぶ東北新幹線において最高時速320キロで運転している。
E5系は座席数が731席、誘導電動機を32基搭載し、出力1万2900馬力という圧倒的なパワーを誇る。車両は軽量アルミ合金製で、高速でカーブを曲がることができる「アクティブサスペンション」を装備している。
また、高速でトンネルに進入する際に発生するソニックブーム(衝撃音)を低減するため、先頭車両の先端が長く設計されている。
E5系は2011年に登場し、計59編成製造された。16年には北海道新幹線も開業し同車両が使われている。北海道新幹線は、津軽海峡の海底下にある全長54キロの青函トンネルを通じ、本州と北海道を結んでいる。
6:アル・ボラク(モロッコ)
6:アル・ボラク(モロッコ) タンジールとケニトラを結ぶ区間を最高時速320キロで走る/Duffour/Andia/Universal Images Group Editorial/Getty Images
18年11月、モロッコの港町タンジールとカサブランカを結ぶアフリカ初、そして現時点でアフリカ唯一の専用高速鉄道が開通した。
イスラムの預言者を運んだ神話上の生物にちなんで「アル・ボラク」と名付けられた。モロッコは総延長1500キロの高速鉄道網の建設を計画しており、開通区間はその第1段階となる。
車両はフランスの2階建てTGV、ユーロ・デュープレックスの派生製品が導入され、タンジールとケニトラを結ぶ186キロの新線区を最高時速320キロで走る。
総額20億ドル(約2300億円)の同プロジェクトには、ラバト―カサブランカ間の既存137キロ区間の高速化も含まれており、最終的な所要時間を4時間45分からわずか2時間10分に短縮する計画だ。
また、カサブランカまでの新線建設が実現すれば、所要時間はわずか90分に短縮される見通し。
アル・ボラクはアフリカにおける鉄道の最高速度記録も保持している。2017年の運行前試験では、アルストム製の12編成のうち1つが新線で時速357キロに達し、アフリカ大陸を走る次に速い列車の2倍以上の速さを記録している。
7:AVE S-103(スペイン)
7:AVE S-103(スペイン) AVEは通常の営業運転で最高時速310キロ。2006年7月にはスペイン記録となる時速404キロを記録したこともある/Oriol Paris/Moment Editorial/Flickr Vision/Getty Images
フランスからTGVの技術輸入を行ったスペインは、1992年に高速鉄道を開業した。それ以来、独自の超高速列車を開発し、マドリードからセビリア、マラガ、バレンシア、ガリシア、バルセロナまで、欧州最長の長距離専用路線網を構築している。
AVEはスペイン高速鉄道の略で、スペイン語で鳥を意味し、通常の営業運転での最高時速310キロ。車両はS―102タルゴとS―103ヴェラロで、後者はドイツのICE3の仲間でより強力な車両となる。
最高速度が時速350キロ、座席数404席のS―103は、スペイン製のS―102タルゴと共にスペインの2大都市間を運行している。
2006年7月には、S―103が時速404キロという鉄道のスペイン国内最高速度を記録。当時、改造されていない商用旅客列車としては世界記録であった。
スペインの鉄道は何十年もの間、低速と長時間にわたる遅延で有名だったが、この30年間でAVEは国内の長距離移動を一変させ、再び国内を網羅する鉄道網を拡大。この進化はさらに続くとみられている。