観光客殺到するスイスの村、入村料の導入検討
(CNN) スイスの谷に位置する小さな村、ラウターブルンネンの地元当局が、作業部会を立ち上げてオーバーツーリズム(観光公害)を低減する新たな手法を模索している。スイス公共放送協会の外郭団体、スイス・インフォが明らかにした。
地元当局によれば風光明媚(めいび)なラウターブルンネンの人口は800人に満たない。現在、村は通りの混雑やごみだらけの道路、家賃の高騰に苦慮している。
検討されている対策の一つは、一部の旅行者に対する入村料の導入だ。スイス・インフォが地元紙の記事を引用して報じた。
提案された入村料はスマートフォンのアプリを通じた支払いを想定し、金額は5~10スイスフラン(約860~1720円)。その日に車で村を通過する旅行者に課金する。
ホテルや周遊旅行などを予約した観光客、公共交通機関で訪れた旅行客は例外として扱われると、ラウターブルンネンの首長は述べたという。スイス・インフォが報じた。
既に世界中60を超える自治体でこの種の観光税が導入されているが、結果はしばしば物議を醸すものとなっている。
イタリアの世界的な観光地であるベネチア市当局は先月25日に入場料の徴収を開始したが、初日から一部の地元住民による抗議行動が起きた。これらの住民は自分たちの暮らす場所がテーマパークに変えられてしまうと抗議している。
ベネチアでは7月14日まで入場料の徴収を試験的に運用し、効果を見極める方針。
ラウターブルンネンには落差が270メートルの滝など、数多くの名所がある。
昨年、スイスのホテル業界が記録したサマーシーズンの宿泊件数は過去最高水準の2390万件に達した。