人種間対立で中止の卒業パーティー、50年ぶりに実現 米
同年5月2日、バーミンガム市内で行われた差別反対のデモ行進に、児童や生徒など数百人が参加した。当局は数千人のデモ参加者を逮捕。それでも連日にわたって続いたデモに対し、消防車で放水したり、警察犬をけしかけたりして阻止しようとした。
しかし、子どもたちが水を浴びせられたり警察犬に脅されたりしている様子は全米に伝えられて怒りを誘い、デモに参加する若者はさらに増えた。
その数日後、バーミンガムの学校区は、卒業式やダンスパーティー、卒業記念アルバム発行を含め、その年度の残りの学校行事をすべて中止すると発表した。
表向きは、人種間対立が続く中で黒人の生徒たちが卒業式などを実施すれば、襲撃の標的になりかねないというのが中止の理由だった。しかし、デモに参加した罰として、生徒たちの楽しみが奪われたと見る向きも多い。
卒業式については、その後保護者が訴えを起こして裁判所の命令が出されたことから、延期になりながらも行われた。しかしダンスパーティーは実現しなかった。
それから50年。今月17日に開かれた卒業ダンスパーティーは市が主催し、当時の生徒たちが中心となって企画した。プロムキングやクイーンを選ぶ恒例イベントこそなかったが、「かつてかなわなかった私たちのプロムがついに実現」というテーマがすべてを物語っていた。
参加者たちは、当時の思い出話や、既にこの世を去った元同級生たちの話題に花を咲かせた。トーマスさんは、「年を取るにつれ、昔のことは何もかも素晴らしく思える」と感慨深げだった。