人種間対立で中止の卒業パーティー、50年ぶりに実現 米
アラバマ州バーミンガム(CNN) 人種差別撤廃を訴えて1960年代の米国で盛んになった公民権運動。当時、人種間対立が深まる中で中止された黒人の高校の卒業ダンスパーティーがこのほど、50年ぶりにアラバマ州バーミンガムで開かれた。
会場には当時流行したアレサ・フランクリン、エタ・ジェイムズ、テンプテーションズなどの往年のヒット曲が流れ、50年前にタイムスリップしたかのような雰囲気に包まれた。
この卒業パーティーは、1963年に開かれるはずだった。しかし公民権運動の高まりで連日のデモが続いたことを受け、市はこの年、黒人の生徒が通う高校5校のパーティーを中止した。
まだ黒人の権利が認められていなかった当時、バーミンガムの町でも黒人と白人は完全に分離されていた。
同地で育ったアーネスティン・トーマスさんによると、黒人は飲食店では裏口から食事を受け取らなければならず、買い物ができる場所は限られ、黒人が立ち入りを許されない地区もあった。
そうした状況に対して公民権運動の指導者たちが立ち上がり、生徒や学生、10代の若者たちも運動に参加。バスで白人が座る場所と決められていた前列の席に黒人の若者が座るなどの運動を繰り返し、白人との間で緊張が高まっていた。
そうした中で迎えた1963年の卒業シーズン。トーマスさんは、知人から贈られた美しいロングドレスを着るのを楽しみにしていたという。
しかし、その夢はかなわなかった。