制御不能の人工衛星2基、米上空で最接近、宇宙産業に警鐘
(CNN) 宇宙ゴミの追跡サービスを手掛けるLeoLabsは、地球の低軌道を周回する使われなくなった人工衛星2基が、米国時間の29日に米国の上空で衝突する可能性があると発表した。
もしも2基が衝突すれば、何千もの破片が小さな宇宙ゴミとなって、他の衛星に多大なリスクを生じさせる危険があるとしている。
LeoLabsは27日の時点で、古い衛星2基が米東部時間の午後6時39分、13~67メートルの距離まで接近すると伝えていた。衝突する可能性は1000分の1としている。
LeoLabsの予想では、協定世界時(UTC)の29日午後11時39分(日本時間30日午前8時39分)、2基は秒速14.7キロの速度で移動しながら、米ペンシルベニア州ピッツバーグのおよそ900キロ上空で最接近する。互いの距離は15~30メートルと予想している。
米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの専門家はこの予想について、1000分の1は極めて低い確率に思えるが、衛星同士の衝突の可能性は宇宙産業に多大な危険を生じさせかねないと指摘する。
接近しているのは米航空宇宙局(NASA)が1983年に打ち上げた宇宙望遠鏡「IRAS」と、米海軍研究所が1969年に打ち上げたスパイ衛星「GGSE-4」。2基とも既に機能していないことから通信はできず、操作する手段はない。
衛星同士の衝突は、直近では2009年に発生。この時は、使われなくなったロシアの通信衛星が稼働中の通信衛星と衝突して、2000個あまりのがれきと数千個の小片が発生した。
各国が宇宙への進出を加速させる中、「衛星が互いに破片で殺し合う連鎖反応が起きて、宇宙が使用不能になる事態が憂慮される」と専門家は警鐘を鳴らしている。