トランプ氏、刑事司法の厳格化を支持 退任後初の米首都演説で
(CNN) 米国のトランプ前大統領は26日、強硬かつ厳格な刑事司法の指針を共和党向けに説明した。その中で中国の司法制度を称賛し、麻薬密売人への死刑適用を支持。さらに連邦政府は各州知事らの権限によらず州兵を動員して犯罪と戦うべきなどと主張した。一方で、2年後の大統領選に言及する場面もあった。
大統領職を退いて以来初めてとなる首都ワシントンでの演説で述べた。昨年1月6日に発生した米連邦議会襲撃事件を調査する下院特別委員会については「特別でも何でもない政界のごろつきと悪党からなる委員会」と形容。委員を務める共和党議員のリズ・チェイニー氏とアダム・キンジンガー氏を名指しで攻撃し、「委員会は心底私の評判に傷をつけたがっている。もう大統領に返り咲いてあなた方のために働くことができないように」と語った。
警察の取り締まりに関しては、「街中でストップ・アンド・フリスク(警察官が路上で不審人物を制止して行う職務質問および所持品検査)を行う方針に立ち返る」ことを特に求めた。その上で、全体として国は再び警察に対し権力と資源、威信を与えるべきだと訴えた。
演説は、非営利の研究機関アメリカ・ファースト・ポリシー・インスティテュート(AFPI)の開いた2日間の会合で行われた。この中でトランプ氏は2024年の大統領選にも短く言及。次の共和党の大統領は自身の掲げる刑事司法の方針を支持しなくてはならないとの見解を表明した。
その上で自らのこれまでの選挙戦について「2度勝利した。2度目の方がずっと良かった。はるかに見事な戦いぶりだったが、あまりにも腐敗がひどかった」と、20年の選挙結果が盗まれたとする根拠のない主張を展開した。
さらに「大変な不名誉を味わった。それでももう一度やらなくてはならないかもしれない。我々はこの国をまともにする必要がある」と続けた。
17年の大統領就任演説と同様、この日の演説は悲観的な論調に終始。国全体が犯罪や薬物、ホームレスの問題にまみれていると訴え、「我が国は没落国家だ」と断じた。
麻薬密売人の取り締まりについては、中国の習近平(シーチンピン)国家主席の手法を称賛する一幕もあった。習氏から直接聞いたという麻薬犯罪の被告に対する極めて短時間の裁判に言及しつつ、麻薬の売人への死刑適用を支持した。トランプ氏はこうした主張を大統領の任期中から唱えている。
また今年の中間選挙に関しては、共和党に「素晴らしい勝機がある」との認識を表明。中間選挙を制した後は、24年の大統領選でも共和党の大統領がホワイトハウスに返り咲くことを強く信じていると付け加えた。