ロブスターの消費自粛勧告、米メーン州が反発
(CNN) 絶滅危惧種に指定されているタイセイヨウセミクジラがロブスター漁によって重大な脅威にさらされているとして、有力団体がロブスターの消費を控えるよう消費者に呼びかけた。これに対してロブスター漁が盛んな米メーン州の政治家が反発している。
モントレーベイ水族館(米カリフォルニア州)の「シーフード・ウォッチ」は1990年代から、持続可能な水産資源の利用に関する勧告をまとめ、魚介類を「緑」「黄」「赤」の3段階に分類している。今月6日には多数の魚介類を新たに「赤」に分類し、消費を控えるよう促した。
アメリカン・ロブスター(オマール)漁については、乱獲されている種や、タイセイヨウセミクジラのような絶滅危惧種を危険にさらす恐れがあるとして、新たに「赤」に分類した。保護団体によると、タイセイヨウセミクジラの野生の個体は300頭ほどしか残っていない。
タイセイヨウセミクジラは釣り糸などの漁具に絡まって死んだりけがをしたりすることが最も多いと同団体は指摘。生息地でクジラがロブスター漁の漁具に絡まることを防いで頭数を回復させるための現在の対策は不十分だとの判断を示した。
これに対してメーン州のジャネット・ミルズ知事や同州選出の上院議員、下院議員らは、ロブスター漁の危険性を裏付ける十分な証拠が提示されていないと批判。ロブスター漁を赤に指定した判断を「メーン州の重要な産業に重大な悪影響を及ぼす無謀な活動」と位置付け、メーン州の何千人もの生活に影響を及ぼす恐れがあるとして、「この無責任な指定を即刻撤回すべき」と訴えた。