バイデン氏、気候変動対策で米国が「再び信頼できるリーダーに」
エジプト・シャルムエルシェイク(CNN) バイデン米大統領は11日、エジプトで開催中の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で演説し、温暖化対策で米国が世界を再びリードできる準備が整ったと述べた。
米国は今夏、温暖化ガス削減に向け、クリーンエネルギーの利用促進に3700億ドル(約51兆円)を投じるインフレ削減法を成立させた。バイデン氏は昨年のCOP26には成果のない状態で臨んだが、今回は米国が決めた巨額の投資を強調したい狙いがあった。
バイデン氏は米国が再び「信頼できる気候問題の世界のリーダー」になることを政権目標に掲げ、「今それを実現する非常に大きな進捗(しんちょく)を遂げた」と語った。他国に対しても「排出を永久に抑制するために、すべての国が取り組みを強化する必要がある」と呼びかけた。
トランプ前政権のパリ協定脱退についても謝罪し、気候変動の懐疑論者に対しては「いい気候変動対策はいい経済政策になる」ことを示していきたいと述べた。
バイデン氏は、連邦政府の大型契約業者に二酸化炭素の削減目標の設定と排出状況の開示を求める提案中のルールに言及したほか、汚染の影響が大きいメタンガスを抑える取り組みとして、環境保護局(EPA)が既存の規制を強化する方針にも触れた。後者は石油や天然ガスからのメタン排出量を2005年比で87%削減する内容で、決定前にパブリックコメントに付される。
バイデン氏は他にもメタン削減などでの他国との協力、適応ファンド拠出額の1億ドルへの引き上げ、アフリカ諸国や太平洋の島国との気候変動協力を発表。こうした取り組みを通じて「米国は30年までに我々の排出目標を達成する」と述べた。
一方、COP27参加国の多くが焦点を当てている別の問題も存在する。温室効果ガスの排出量の多い先進国が、気候変動で多大な影響を被る途上国に支払う補償金の問題で、米国などでは国内政治が制約となり大きな進展が見込めない状況となっている。
バイデン氏は低所得国への気候変動被害対策を支援する資金確保で、議会の支持獲得に苦労している。中間選挙で共和党が一院でも制すれば、今後2年間の新たな立法は難しくなる。
バイデン氏はエジプトに約3時間滞在し、その後国際的な首脳会議が開かれるアジアに向かった。エジプトではCOP27に出席したほか、エジプトのシーシ大統領とも会談し、防衛協力や中東情勢、人権状況について協議した。