米、気候問題対策の資金調達で新計画発表 即座に批判も

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米国のケリー気候変動問題担当大統領特使が気候問題対策の資金調達で新たな計画を発表/Horacio Villalobos/Corbis News/Getty Images

米国のケリー気候変動問題担当大統領特使が気候問題対策の資金調達で新たな計画を発表/Horacio Villalobos/Corbis News/Getty Images

(CNN) 米国のケリー気候変動問題担当大統領特使は9日、開発途上の世界で気候問題に取り組むための資金を調達する新たな計画を発表した。自社の汚染排出を相殺したいと望む企業に対し二酸化炭素の排出権(カーボンクレジット)を販売するというものだが、一部からは効果を疑問視する声も出ている。

エジプトで開かれている国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で演説したケリー氏は、この計画について1年以内に「軌道に乗せる」べきだと強調。実現すれば脆弱(ぜいじゃく)な国々でのエネルギーの移行を資金面で支援できると述べた。

その上で、中国とナイジェリアがすでに計画に興味を示しているとした。

ただ計画には批判も寄せられている。排出権の販売による資金調達は企業に対し、支払いを通じて他の主体に温室効果ガス排出の削減を行わせることを可能にする。その場合、自社からの排出は削減されない。

憂慮する科学者同盟が取り組む気候・エネルギープログラムで政策責任者兼筆頭エコノミストを務めるレーチェル・クレータス氏は、ケリー氏の提案について、実際の公共財政の代わりにはならないと指摘。中及び低開発国に必要なのは「裕福な国からの補助金ベースの公共財政であり、疑わしいカーボンオフセット(排出される温室効果ガスを、他の主体が削減した分の購入により相殺すること)ではない。それでは企業に汚染物質の排出を許すことになり、結果として地球環境を犠牲にする」と述べた。

裕福な国々が貧しい国々を財政的に支援し、化石燃料からの脱却と再生可能エネルギーへの転換を後押ししなくてはならないという発想は、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の重要部分だ。しかし実際の資金に関して、現時点で具体化した内容はほとんどない。

経済の混乱や高インフレ、エネルギー価格の高騰に直面する多くの政府にとって、納税された資金を遠くの国々の気候プロジェクトに充てるのは難しくなっている。

ケリー氏のチームも、他国の気候問題支援に巨額の資金を拠出するのは至難の業だと認識している。実現するには議会で予算割り当ての承認を受けなくてはならないからだ。

このためケリー氏は民間セクターの活用に動いている。計画の発表は、ロックフェラー財団、ベゾス・アース・ファンドと提携する形で行われた。ほかにもバンク・オブ・アメリカ、マイクロソフト、スタンダード・チャータード銀行、ペプシコなどもすでに計画に対する「強い関心」を示しているとケリー氏は説明。一方で化石燃料の企業はこの計画に携わっていないと付け加えた。

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