バイデン氏の拒否権発動、米下院覆せず ESG投資規則めぐり政権勝利
(CNN) 米下院は23日、政権の打ち出した投資規則を無効にする議会決議にバイデン大統領が拒否権を発動した件で、拒否権を覆すための採決を行ったが、必要な票数が集まらず政権側の勝利に終わった。
退職年金基金に対し投資先の選定時に気候変動の影響や環境・社会・企業統治(ESG)の要因の考慮を認める労働省の投資規則を巡っては、議会が今月、規則を無効とする決議を通過させた。バイデン氏はこれに対し20日、就任後初となる拒否権を発動した。
拒否権を覆すには上下両院で3分の2以上の賛成が必要となるが、下院での採決結果は219対200だった。
共和党はこの投資規則がリベラルの政策課題を国民に押し付け、退職者の利益を損なうものだとして、規則を無効にする決議を主導。一方民主党は、この規則が政治的理想に関するものではなく義務を定めるものでもないと反論し、投資家を支援するものだと主張していた。
規則を無効とする決議は今月、民主党上院のジョー・マンチン議員(ウェストバージニア州選出)とジョー・テスター議員(モンタナ州選出)が共和党側に回ることで両院を通過していた。
バイデン氏は拒否権発動にあたり、共和党主導の決議は退職年金を危険にさらすものだとの見解を発表。「MAGA(米国を再び偉大に)の下院共和党議員が嫌うリスク要因を考慮することを違法にするもの」だと反発した。
今回の拒否権発動は、昨年秋の中間選挙で共和党が下院を奪還し、ワシントンの政治秩序が変化したことを示している。選挙以前は民主党が両院を制していた。
ただ、共和党が握る下院を通過した法案の大半は、民主党が支配する上院を通過できない。それでも今回の規則無効の決議が通ったのは、行政府が出した規則を無効にするには単純多数で足り、通常の立法で必要となる上院での賛成票60票を必要としないためだった。