(CNN) トランプ前米大統領が退任時に機密文書を持ち出した問題で、起訴状の重要な根拠のひとつとされた会話の録音音声をCNNが独占入手し、番組の中で公開した。
録音された2分間の音声は、トランプ氏が2021年、ニュージャージー州ベッドミンスターに所有するゴルフクラブで、元側近マーク・メドウズ氏の回顧録を担当するライターと出版責任者からインタビューされた会話の一部。
トランプ氏はこの中で、イランへの攻撃計画が記載された国防総省の機密文書を持っていると話し、「これがその文書だ」と発言している。
今月公表されたジャック・スミス特別検察官の起訴状に、この発言は含まれていなかった。
トランプ氏は当時、米軍のミリー統合参謀本部議長がイランへの攻撃に反対し、トランプ氏の暴走を懸念していたとの報道に激怒したとされる。会合では、イラン攻撃を主張したのが自分ではなく、ミリー氏や国防総省だったことを示そうとしたとみられる。
トランプ氏は「私の手元に大量の文書がある」「高度な機密」とも発言し、その場で文書の一例を見せた様子がうかがえる。起訴状で指摘された紙をめくるような音も、はっきりと録音されていた。
音声では、トランプ氏が文書を「秘密の情報」と呼んだのを受け、同席したスタッフの1人がクリントン元国務長官の私用メール問題に言及。クリントン氏は日頃からメールを紙に印刷して読んでいたことから、同氏なら機密文書を常に印刷しただろうと冗談を飛ばした。
続いてトランプ氏が、印刷ではなくクリントン氏の側近の夫、ウィーナー元下院議員に送っていたはずだと話し、同席者の笑いを誘っている。
クリントン氏がトランプ氏と争った16年大統領選の直前、ウィーナー氏が別件で捜査された際に、同氏のノートパソコンから関連が疑われる新たなメールが見つかり、連邦捜査局(FBI)が一時期、クリントン氏への調査を再開した経緯がある。
トランプ氏はこの後、イラン関連の文書に話題を戻し、この文書は今も機密扱いのままだと言明。「大統領在任中なら機密解除できたが、今は無理だ」と話した。この部分は起訴状にも記載されている。
トランプ氏は今月の罪状認否で、機密持ち出しをめぐる全37件の罪状について無罪を主張した。
米FOXニュースが先週放送したインタビューでは、「文書そのものは持っていなかった」「機密解除が必要なものは何もなかった」と話した。
会合での発言は、トランプ氏のこうした主張の根拠を揺るがす内容だったことが、改めて明確になった。