ハマスの資金源の解明に着手、投資先リストも把握へ 米
(CNN) 米情報機関と法執行機関が、イスラム組織「ハマス」の活動資金集めや得ている支援内容の実態を把握する調査を新たに始めたことが28日までにわかった。
元職や現職の複数の米政府当局者がCNNに明らかにした。米国内にも浸透しているハマスの活動の形態も調査対象にする。
今回の調査は、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するハマスとイスラエルの軍事衝突を受け、ハマスやレバノンを拠点にするイスラム教シーア派武装組織「ヒズボラ」が及ぼす脅威について米情報機関などが現在進めているより広範な再評価作業の一環。
ハマスとヒズボラにはいずれもイランが肩入れしている。ヒズボラは中東で最も強力な民兵組織の一つと受け止められている。
ハマスが米国内に支援者のネットワークを築き、主に資金集めに活用していることは長い間知られていた。同組織の活動上の主眼は伝統的にイスラエルへの攻撃だったため、米政府当局はハマスが米国の権益や米本土へ攻撃を仕掛ける可能性は少ないとの判断に落ち着いていた。
米政府当局者の1人は、ハマスによるイスラエルへの大規模奇襲が今月7日に起きるまで
、ハマスの米国内での活動の目的は「資金収集」と位置づけてもいた。大規模奇襲がきっかけとなった情勢の急変で軌道修正を迫られ、米の法執行機関などがハマスの資金源の解明などに全面的に取り組む格好となった。
米政府当局者はまた、ハマスが保持する預金、株式、債券や不動産など「秘密」の投資先リストや金融商品リストの究明作業を強化していることも明らかにした。これら資産は4億米ドル(約600億円)から10億ドルまでの範囲にあるとされ、ハマスにとっては相当な規模の収入源になっているとみている。
この究明作業では米財務省が、サウジアラビアやカタール、クウェートなどで組織する「湾岸協力会議」(GCC)と協力。米国、サウジ両国当局者は最近、首都リヤドでテロ資金調達の封じ込めを狙う組織「TFTC」の緊急会合を招集した。
TFTCには米国とGCC加盟国が参加し、2017年に創設された。米政府当局者によると、ハマスやヒズボラに加え、イランが支援する過激派組織に絡む資金の流れなどの追跡を加速している。関連性があり、時期を得た実用的な情報の共有などを進めているという。
この中で米財務省は最近、ハマスの「秘密」の投資先リストを管理していたとする人物に制裁を科した。世界規模で展開している投資の形態には「合法的な事業推進を装った」企業などが含まれるとされ、スーダン、アルジェリア、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)や他の国で活動しているという。