トランプ氏「口止め料」裁判、渦中のポルノ女優が証言
(CNN) トランプ前米大統領がポルノ女優への不倫口止め料支払いに伴ってビジネス記録を改ざんしたとして起訴された訴訟で、当のポルノ女優のストーミー・ダニエルズ氏本人が7日、証言台に立った。2006年にトランプ氏との間で性的関係があったと主張し、それにまつわる卑猥(ひわい)な詳細を明らかにした。
ダニエルズ氏によれば両者は著名人が参加するゴルフトーナメントで出会い、トランプ氏が所有するホテルの一室に入ったという。
おおむね飾らない、砕けた口調でダニエルズ氏は、ホテルの部屋の床や家具、洗面用品などの詳細を説明。トランプ氏がベッドでとったというポーズを再現するなどして、性行為に至った様子を赤裸々に語った。
証言中、内容が露骨すぎるとしてマーシャン判事が複数回割って入り、それ以上の具体的な説明を止めさせる場面もあった。
ダニエルズ氏側の広報は、トランプ氏が大統領選出馬を表明した15年から両者の性的関係をマスコミに売り込もうとしていた。結局トランプ氏が女性蔑視発言を連発した過去のテレビ番組「アクセス・ハリウッド」のテープが16年10月に公表された後、タブロイド紙「ナショナル・エンクワイアラー」を保有するアメリカン・メディア(AMI)及びトランプ氏の顧問弁護士(当時)のマイケル・コーエン氏と交渉。トランプ氏との関係を公にしないという条件で、コーエン氏がダニエルズ氏に13万ドル(現在のレートで約2000万円)を支払ったという。
口止め料のことが明るみに出た18年、ダニエルズ氏は声明でトランプ氏との関係を否定したが、7日の証言ではこの内容は事実ではなかったと説明。「この声明は虚偽なのか?」と検察に問われると、「はい」と答えた。
トランプ氏の弁護士はダニエルズ氏による卑猥な内容の証言を受けて、判事が審理無効を宣言するべきだと主張。トランプ氏が依然として一連の疑惑を強く否定する中、陪審員らに不公平で偏った証言を聞かせる結果になったと訴えた。また当該の証言は検察側の起訴内容であるビジネス記録の改ざんと何ら関係がないとも指摘した。
これに対し検察は、証言が被告の意図に関する有力な証拠になると示唆。トランプ氏による口止め料支払いの動機につながるものだと反論した。
最終的にマーシャン判事は審理無効の申し立てを退けたが、「物事には言わずにいた方がいい場合もあると考えている」と述べ、証人としてのダニエルズ氏に扱いにくさを感じていることを示唆した。
トランプ氏の弁護士は反対尋問で、ダニエルズ氏が話の詳細をでっち上げ、トランプ氏をゆすろうとしていたと主張。16年大統領選前の13万ドルの支払いも、ゆすりと同じだとの見方を示した。
自身の信用を失わせようとする弁護士の狙いを受け、ダニエルズ氏の動作や口調は明らかに変化。トランプ氏を嫌っているかとの問いには「はい」と答えたものの、ゆすりの意図があったとの尋問に対しては、「違います」との短い否定を繰り返した。
ダニエルズ氏は裁判の再開する9日に、再び証言に立つ予定。