米当局が懸賞金かけるイスラム指導者、「サンディ」被災者支援を申し出
イスラマバード(CNN) 米東海岸を襲った温帯低気圧サンディの被災者に、意外な人物が支援を申し出ている。米国務省が1000万ドル(約8億円)の懸賞金をかけて行方を追っているハフィズ・サイード氏。パキスタンのイスラム過激派「ラシュカレトイバ」に関連する福祉団体「ジャマートゥル・ダワ」の指導者だ。
サイード氏は30日夜、「被災者を無条件に支援する」との声明を出した。「米政府の許可が得られれば、人道支援として医師や救助活動の専門家、食料、医薬品を送り込む」としている。
同氏はさらに、被災した米国人を信条にかかわらず助けることは「われわれの宗教上、道徳上の義務だ」と述べた。同氏の背後には、水没したニューヨークの地下鉄駅構内をダイバーが泳ぎ回る合成画像が貼られた。同団体は過去にスリランカやインドネシアの被災地を支援した実績があるという。
米当局は今年4月、サイード氏の拘束、訴追につながる情報の提供者に懸賞金を出すと発表した。同氏は2008年のムンバイ同時テロを首謀したとして、インド当局に起訴されたが、本人は関与を否定している。パキスタンの裁判所も同氏らが関与していないと判断した。
イスラマバードの米大使館からはコメントが取れず、同団体が米政府に直接申し出たのか、また米側がこれを受け入れるかなどは明らかになっていない。
ラシュカレトイバは近年インドでテロを繰り返しているとされ、01年12月に米政府のテロ組織指定を受けた。パキスタンでも02年に非合法化されたが、実際は自由に活動を続けている。米財務省は08年、サイード氏と同団体の幹部3人をテロリストと認定し、米国内の資産凍結や米企業との取引禁止など制裁措置を発動した。