野党指導者が自宅前で射殺、各地で抗議デモ チュニジア
チュニス(CNN) チュニジアの首都チュニス郊外で6日朝、野党指導者のショクリ・ベライド氏(48)が殺害された。目撃者によればベライド氏は自宅前で近距離から撃たれた。犯人は仲間の運転するオートバイで逃走したという。
ベライド氏は左派の世俗政党、民主愛国党の指導者で、世俗派の野党が広く連携した「人民戦線」の代弁者としても活躍。非暴力の姿勢と、穏健派イスラム政党「アンナハダ」のジェバリ暫定首相率いる現政権への批判の急先鋒として知られていた。
チュニジアでは2010年12月から翌年1月にかけての民主化運動で、23年間続いたベンアリ独裁政権が崩壊。この際に警察がデモ隊に発砲した事例は一部であったものの、特定の政治家を狙った暗殺はこれまで起きていなかった。
事件を受けてチュニジア各地では抗議デモが行われ、一部では、民主化運動のスローガンをなぞった「政権を倒せ」と叫ぶ人々もいた。内務省前ではデモ隊に対し、警察が催涙弾を使用。またデモ隊は、アンナハダの事務所にも押し寄せた。
ジェバリ首相は、すぐに国営テレビで暗殺事件を非難。内閣改造と、速やかな選挙の実施を表明した。
ジェバリ首相は「殺害されたのはベライド氏だが、この暗殺事件の背後にある真の標的はチュニジア革命全体だ。ベライド氏は暴力を否定する中で対話や他者を尊重し受け入れることの重要性を体現していた。これは政治的暗殺だ」と述べた。
ベライド氏の親族はアンナハダが暗殺に関与したと主張。ベライド氏は以前から、殺害の脅迫を受けていたという。