エジプト大統領、非常事態を宣言 野党に対話呼びかけ
(CNN) エジプト北東部の港湾都市ポートサイドで大規模なデモが発生したことを受け、ムルシ大統領は27日夜のテレビ演説で限定的な非常事態を宣言し、スエズ運河に面したポートサイドとイスマイリア、スエズの3都市に午後9時から午前6時まで30日間の夜間外出禁止令を出した。
演説の中でムルシ大統領は「私は行動する」と述べ、暴力を容認しない姿勢を強調した。
スエズやイスマイリアなどの各地では、ムバラク政権を崩壊させた大規模デモから2年目に当たる25日から反政府デモが広がり、デモ隊と政府支持派や警官隊との間で衝突が発生。一方、ポートサイドでは、昨年サッカー場で起きた暴動に関連して21人に死刑判決が言い渡されたことに抗議するデモが激化して38人が死亡、415人を超す死傷者を出した。
ムルシ大統領は、デモ隊が各地で公共施設や民間施設を襲撃し、道路を封鎖したり武器を持ち出したりするなどして「市民を恐怖に陥れた」と非難。こうした「犯罪者」は「できるだけ早期に裁きを受けさせる」と述べ、「国家機関を襲撃する者には力をも用いて適切な対応を取るよう」に内務相に指示したことを明らかにした。エジプト当局には平和と安定を取り戻す能力があるとも強調した。
大統領はさらに、2年前の「1月25日革命」にも言及し、今回のデモで一部が暴徒と化した行為は「エジプト革命とは何の関係もなく、むしろ革命に反する」と指摘。国内に意見の相違があることを認め、「対話のみが安定と治安につながる唯一の道だ」としたうえで、現地時間28日に政党11党の会合を開くと発表し、代表者の参加を呼びかけた。