ISIS脅威下のイラク西部、米地上部隊を求める声
しかし米オバマ政権はかねて、地上部隊を送らないと明言してきた。イラク政府も米地上部隊を受け入れないとの立場を貫いている。
米国防総省とアバディ・イラク首相の広報室は11日、アンバル州から正式な要請は受けていないと述べた。国防総省当局者はさらに、たとえ要請があったとしても地上部隊を展開することはないと指摘。米軍は助言と空爆による支援に集中すると強調した。
米中央軍は11日、バグダッド周辺に差し迫った危険はないと改めて述べた。ヘーゲル米国防長官も同日、「バグダッドはイラク治安部隊の完全な管理下にある」と強調した。ただ、ISISがバグダッドの空港を脅かす事態となれば、情勢が一転する恐れもある。米軍事アナリストからは、イラク軍の指揮系統がまったく機能していないと懸念する声も上がっている。
一方シリアでは、ISISがトルコ国境に面したクルド人地域の要衝、アインアルアラブ(クルド名コバニ)に侵攻し、10日までに街の約半分を掌握したとみられる。ISISとクルド人民兵が激しい攻防を展開し、近郊で米軍主導の空爆が実施されている。
ここでもISISが数と装備で圧倒し、街は完全に包囲されつつあるという。国連のデミストゥラ・シリア担当特使は、街がISISに掌握されれば住民の大虐殺が起きる恐れがあると指摘している。