パレスチナ政府高官がデモで死亡、イスラエル兵が暴行か
エルサレム(CNN) パレスチナ自治政府当局者は10日、自治区ヨルダン川西岸ラマラ近郊で同日、国際人権デーのデモに参加していた自治政府高官がイスラエル軍部隊と衝突した際に、死亡したと述べた。
今回の死亡を受け自治政府とイスラエル政府との対立がさらに先鋭化する可能性がある。エルサレムや自治区内では最近、イスラエル治安当局とパレスチナ人の衝突が頻発していた。
自治政府のアッバス議長は事件を受け、イスラエルとの保安協力の停止を決めた。一方、イスラエル政府の声明によると、ネタニヤフ同国首相は特使を通じて自治政府にメッセージを送り、自治政府高官の死去の問題を調べる考えを伝えた。
イスラエルとの和平交渉責任者である自治政府のサーエブ・エラカート氏の声明によると、死亡したのはイスラエルがヨルダン川西岸との間に築いた分離壁と占領地のユダヤ人入植地の問題を担当する委員会のジアド・アブアイン委員長。10日の衝突はラマラから北東に離れた村落で発生、デモは平和的に行われていたと主張した。
死亡の詳しい経緯は不明だが、一部のメディアはイスラエル兵士が委員長の首に手を掛けている画像を流した。委員長はこの後、路上に倒れるなどしていた。一方、パレスチナの通信社WAFAはアブアイン氏は催涙弾を吸って、イスラエル兵士に胸部を殴られた後、意識を失ったと報じた。
この現場にいた目撃者はCNNに、複数のイスラエル兵士は委員長の名前を呼んでおり、委員長を狙っていたふしもあると証言。アブアイン氏は小競り合いを仲裁しようとした際、銃床で胸部を打たれ、手でのど部分をつかまれ押し戻される暴力を受けていたという。
委員長の遺体を調べたラマラの病院当局者は、死因は催涙弾を吸った後に起きた吐瀉(としゃ)による窒息死と述べた。