地中海での難民の遭難死、3千人超 内戦逃れ欧州目指すも
(CNN) 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は10日、内戦などから逃れるために中東やアフリカから欧州に渡ろうとして地中海で死亡した移民や難民の数が今年、3419人に上ったと明らかにした。
UNHCRによれば、今年に入って地中海を渡って欧州に不法に入った人々の数は、2011年の約7万人のほぼ3倍にあたる20万7000人。船を使った移民や難民の数は全世界で34万8000人で、その約6割にあたる数字だ。
ただし当局に見つからない船も少なくないため、数字は正確ではない。
UNHCRは「欧州は、南(リビア)と東(ウクライナ)、そして南東(シリアとイラク)に紛争をかかえており、過去最大の海を越えた人の流入を経験している」と指摘している。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)によれば、その半数以上が内戦にあえぐシリアや、独裁政権が20年以上続くエリトリアからの人々だ。
この状況を受けてイタリア政府は捜索・救助作戦「マーレ・ノストルム(私たちの海)」を展開して数多くの移民を救助した。しかし、複数の援助機関から継続を求める声があったものの、イタリアは10月にこの活動を終了している。
世界各地で多くの人々が紛争などを逃れるために海を渡っている。エチオピアとソマリアを初めとする「アフリカの角」と呼ばれる地域からイエメンなど中東諸国を目指して海を渡った人の数は推計8万2680人。アジアでは、バングラデシュやミャンマーから5万4000人近くが海を渡った。