テニス世界王者ヤニック・シナー、3カ月の出場停止 薬物問題で合意成立
(CNN) 男子テニス世界ランク1位のヤニック・シナー選手(23)が昨年、薬物検査で陽性反応を示した問題で、世界反ドーピング機関(WADA)は15日、同選手が3カ月の出場停止処分を受け入れることで合意に達したと発表した。
発表によると、出場停止期間は今月9日から5月4日まで。次の四大大会である全仏オープンには出場できる。
シナー選手は昨年3月、米カリフォルニア州での大会開催中に8日の間を置いて実施された2回の検査で、低濃度ながら禁止薬物クロステボールの陽性反応を示した。これに対し、不正監視機関の国際テニス・インテグリティ・エージェンシー(ITIA)は同8月、本人に違反の意図はなかったとの見解を発表していた。
同選手はSNSへの投稿で、スタッフの理学療法士が自分自身の傷の治療に使っていたスプレーの成分が施術で体内に入ったと主張し、処分を免れていた。
WADAはこれを不服としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に訴えたが、合意成立を受けて訴えを取り下げた。
WADAは15日の声明で、シナー選手がクロステボールの筋肉増強作用で有利になった事実はないこと、本人の知らないところでスタッフの不注意があったことを認めた。同時に、選手はスタッフの不注意にも責任を負うとのルールと判例から「3カ月の出場停止が適正と考えられる」と述べた。
シナー選手もCNNへの声明で、チームへの責任を負い、WADAの厳格なルールを尊重する姿勢を強調した。