エジプト大統領、テロ対策法に署名 人権めぐり懸念も
(CNN) エジプトのシシ大統領は18日までに、テロリズムに対する当局の権限を強化する「テロ対策法」に署名した。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、新法は当局に非常事態下と同様の権限を与え、表現や平和的集会、結社の自由を事実上否定する内容だという。
ジャーナリストがテロ関連で当局の発表と異なる報道をした場合は、高額の罰金が科される。
政府はこれについて、武装勢力の攻撃が近年ますます激化した結果、必要になった法律だと説明している。同国では2013年7月の軍事クーデターでイスラム組織「ムスリム同胞団」出身のムルシ前大統領が追放されて以来、テロ攻撃が増え続けている。
しかし人権団体などからは、新法は「非生産的」との批判が集中している。内閣が先月法案を起草した際にも、国内14の人権団体が共同で声明を出し、「治安機関が国民の市民的、政治的権利をさらに抑えようとするやり方は、テロの脅威に対する有効な解決策にはならない」と主張した。
国際法律家委員会(ICJ)によると、エジプト当局者らは今後、命を守る以外の目的で致死的な武力を行使しても訴追を免れる。また、検察当局には広範囲にわたる監視、拘束の権限が与えられるという。
ICJの中東・北アフリカ部門責任者は、「反対意見や基本的自由に対する抑圧的な法律がまたひとつ増えた」と懸念を示している。