豪閣僚、二重国籍発覚で辞任 知らなかったと説明
(CNN) オーストラリアのマシュー・カナバン資源・北部担当相は27日までに、自身の関知しないところでイタリア国籍を取得されていたことがわかったと公表し、閣僚を辞任した。この2週間で豪州議会で二重国籍が問題となったのは3人目。
カナバン氏はブリスベンで記者会見を開き、母親が2006年に同氏のイタリア国籍取得を申請していたと説明。今月18日にその事実を打ち明けられたという。
「私はイタリア生まれでなく、訪れたこともなく、領事館や大使館にも行った記憶はない。自分にイタリア国籍があるとは疑いもしなかった」と説明した。
同国の憲法第44条は、他国の市民権を持つ者が国会議員に就くことを禁じている。
カナバン氏は事案が解決するまで閣僚を辞任すると述べたものの、議員辞職は否定した。政府が得た助言に基づき「上院議員を辞するのは本意ではない」と語った。
記者会見に同席したブランディス司法長官は、カナバン氏の処遇は裁判所で判断されると語った。
今月に入って、野党・緑の党の上院議員2人が二重国籍の発覚で議員辞職した。スコット・ラドラム議員は14日、出生国のニュージーランド国籍があるとの通知を受けたとして辞職。同国を出国したのは3歳のときだった。
その後、同党のラリッサ・ウォーターズ議員も自身の国籍を調査し、カナダとの二重国籍がわかったとして18日に辞職した。同氏はカナダ生まれだが、両親からカナダの国籍を取得するには積極的な申請が必要だと誤った説明を受けていたという。
政権を担う保守連合から二重国籍がわかったのはカナバン氏が初めて。発覚が相次いでいるのを受けて、外国生まれの議員に対する外国籍放棄の証明を提示する圧力が強まりそうだ。過去には英国生まれのトニー・アボット前首相が疑問視され、英国籍を1993年に放棄したことの証明書を提示する展開があった。
憲法第44条の改正を求める声が再燃する可能性もあるが、憲法改正には国民投票が必要となる。