汚職摘発で回収の現金、国民に分配へ サウジアラビア
ドバイ(CNNMoney) サウジアラビア政府は28日までに、昨年11月に実施した大規模な汚職摘発で回収した現金などを緊縮政策のしわ寄せを受けているサウジ国民に分配する方針を明らかにした。
ムハンマド・アル・ジャドアン財務相はスイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で、取り戻した現金の一部は国家公務員への分配金の財源になると説明。サウジ国民の7割が国家公務員とされる。
サウジ政府は今月、全ての国家公務員に対する年1回の特別報奨金を発表。また、政府職員への月額1000リヤル(約2万9000円)の手当金の1年間支給、学生奨学金の10%増加、兵士への報奨金や初めての自宅購入者への優遇税制なども打ち出していた。これらの措置の財源は約500億リヤル規模となっている。
サウジ政府によると、王子らの王室関係者、政府幹部や実業家らによる汚職行為で喪失した資金は少なくとも1000億米ドル(約10兆9000億円)相当。一部の現金などは容疑者との合意を受け政府に返還されている。
ただ、ジャドアン財務相はCNNMoneyの取材に、これら容疑者の大半の資産は現金では有り得ないと指摘。不動産などもあり清算するのに時間を要すると述べた。
原油価格の低迷でサウジの国家予算は赤字を強いられ、大半の商品への5%の売上税課税やガソリン価格の2倍の値上げなどの措置を講じている。一方で、脱原油の経済構造への変換を目指す政策を進めている。昨年の大がかりな汚職摘発はこの政策の一環ともなっている。