顔面などへの酸攻撃、昨年は過去最悪の465件 ロンドン
ロンドン(CNN) ロンドン警視庁は28日までに、市内で昨年発生した酸性の刺激物を顔面に浴びせるなどの人身攻撃は計465件と過去最高を記録したと報告した。
情報の公開制度に基づくCNNのデータ請求に警視庁が応じた。排出用パイプの洗剤液など日常生活で広範に用いる刺激物を用いた手口が目立つ。犯行件数は2016年に395件、15年は255件。過去6年では6倍の水準に達した。
被害者は若年層の男性が多く、ギャング団構成員が標的の顔面に浴びせる犯行も増えている。警視庁の提供データによると、犯行の容疑者の75%以上と被害者の約60%が10~29歳。性別では実行犯の71%と被害者の72%が男性だった。
酸攻撃の発生は近年、ロンドン東部が圧倒的に多く、昨年も同様の傾向が示された。特にニューアム地区での件数は85件と2013年以降の最多記録を続けた。
CNNは昨年、酸攻撃の多発は豊かでない家庭の少年や若年層が直面する窮乏生活や生活向上の機会の不足などに根差すとする社会福祉活動家らの証言を伝えていた。
顔面に重傷を負い人生が一変するような危機に直面した被害者もおり国会は対応策の取りまとめを迫られてもいる。高度の腐食性を有する液体の未成年者への販売禁止や酸性物質の所持に関する法規見直しなどが検討されている。ラッド内相は悪質な犯行の実行犯への終身刑判決を要求してもいる。
この種の犯行は南アジアなど世界の他地域でも多発している。男性が知り合いの女性を攻撃する例が大半だ。
ロンドン警視庁の酸攻撃担当の捜査幹部によると、今年になり他の緊急事態対策当局と協力し学校を対象に攻撃阻止や周知に関するキャンペーンを始めた。