韓国、北朝鮮向けの宣伝放送を中止 南北首脳会談の開催念頭
ソウル(CNN) 韓国軍は23日、北朝鮮との軍事境界線を越えて大音量で流してきた宣伝放送を中断したと発表した。歴史的な南北首脳による会談を27日に控え、友好ムードを演出する狙いがあるとみられる。
拡声器を使用した北朝鮮に向けての宣伝放送は、同国による4度目の核実験への対抗措置として2016年1月から定期的に実施されてきた。放送では韓国の音楽やニュース、天気予報、日常生活の話題などを伝えた。北朝鮮の国民はこうした情報に触れることを厳しく制限されている。
北朝鮮も同様の宣伝放送を行っていたが、韓国側の放送に対してはかねてから反発を示し、砲撃で応じるケースもあった。
韓国による今回の放送中止は、北朝鮮に対する一定の譲歩とみることができる。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は数日後に会談を行う予定。
韓国と北朝鮮が戦った朝鮮戦争は1953年の協定により休戦状態となっているものの、いまだ終結には至っていない。両国の首脳が直接会談したのは10年以上前にさかのぼる。
韓国国防省の報道官は宣伝放送の中止について、「来る首脳会談に向け、両国の軍事的緊張を緩和し、平和的な雰囲気を創出するために決定した」と説明した。
23日には両国の実務者レベルの協議が始まり、首脳会談の準備について詳細を詰めるとみられる。