男児救助の「スパイダーマン」に仏市民権、消防局が採用の意向
パリ(CNN) フランス・パリの集合住宅でバルコニーから転落しそうになった男の子を目撃した西アフリカ・マリ出身の男性が、「スパイダーマン」さながらにビルをよじ登って救助した出来事をめぐり、フランス大統領府は28日、この男性に市民権を贈呈すると発表した。パリ消防局は、この男性をぜひ採用したいと申し出ている。
男の子を助けたのはマリ人のマムドゥ・ガッサマさん(22)。わずか数秒でビルのバルコニー伝いに4階をよじ上り、転落しそうになっていた男の子(4)を引っ張り上げた。パリ救急隊が到着した時は、既に男の子はガッサマさんのおかげで無事保護されていた。
マクロン大統領は28日、ガッサマさんをエリゼ宮(大統領府)に招き、表彰状と勲章を贈呈。ガッサマさんは「何も考えずによじ登った。神が私を助けてくれた」と振り返った。怖くなって身体が震え始めたのは、男の子の部屋にたどり着いた後だったという。
現場を撮影したビデオには、バルコニーにしがみついた男の子を、隣の部屋の住民が手を伸ばして必死に助けようとする様子が映っている。男の子の父親は買い物に出かけて留守だった。
パリ検察によると、父親は子どもを置き去りにした疑いで取り調べを受けている。男の子は保護された。
パリのイダルゴ市長は公式ツイッターで27日、ガッサマさんの勇気に感謝の意を伝えたことを明らかにした。ガッサマさんはフランスで生活することを夢見て数カ月前にパリに到着したといい、イダルゴ市長はフランス定住を支援すると約束した。
パリ消防局もガッサマさんについて、「マムドゥはパリ消防局の価値観を共有している。ぜひ彼を迎えたい」とツイートした。