シリア人命救助団体の300人、脱出できず窮地に 南部で足止め
ヨルダン・アンマン(CNN) 内戦が続くシリアで人命救助活動を行っていたボランティア団体「シリア民間防衛隊(通称・ホワイトヘルメッツ)」のメンバー約300人が、シリア南部で足止めされて脱出できなくなり、危険な状況に陥っている。同団体のメンバーが23日、CNNに明らかにした。
ホワイトヘルメッツのメンバーは、イスラエルが占領するゴラン高原を経由してシリアから脱出させる計画だったが、取り残された300人は22日までに避難地点に到達できなかった。
ボランティアの1人は、「シリア政府の検問所が通行を許可せず、避難地点にたどり着けなかった」「特に、ホワイトヘルメッツの一部が昨日朝、脱出に成功した後は、分刻みに状況が悪化している。政権が私たちを見張っている」と語った。
同団体のメンバーやその家族など数百人は22日、イスラエルの支援を受けてシリアを脱出した。しかし残るメンバーは、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」と政権軍の激しい戦闘に阻まれて、避難地点に到達できなかったという。
政権軍が同国南部に残るISIS最後の拠点の制圧を目指す中、戦闘はここ数日で激化している。
イスラエル国防軍の発表によると、22日に脱出した数百人は、イスラエルを経由してヨルダンに移動した。
シリア政権はイスラエルが支援した脱出を「犯罪作戦」と形容。国営シリア・アラブ通信(SANA)は23日、外務省当局者の話として、この作戦によってホワイトヘルメッツの「テロリスト的性質」が裏付けられたと伝えた。
ホワイトヘルメッツのメンバーは、動画や写真、SNSへの投稿を通じて、シリア内戦の惨状を世界に伝えてきた。紛争地帯に入って生存者を捜索・救出する活動は、米国を含む多くの国から支持されている。