イラン、英船籍のタンカーを拿捕 2隻目拿捕の情報も解放
(CNN) イラン当局は19日、ホルムズ海峡で英国船籍のタンカー1隻を拿捕(だほ)したと発表した。米当局者は別のリベリア船籍のタンカーも拿捕されたと明らかにしたが、イラン側は拿捕を否定。運航会社は同船の解放を確認した。
イラン国営プレスTVによると、革命防衛隊傘下の海軍が英船籍のタンカー「ステナ・インペロ」を拿捕した。革命防衛隊はプレスTVに対し、同タンカーが国際的な規則に違反したと主張している。
プレスTVはまた、イラン軍情報筋の話として、ステナ・インペロが複数回にわたり警告を無視したと伝えた。米国防当局者は同タンカーの拿捕を確認した。
半国営ファルス通信が革命防衛隊の声明として伝えたところによると、ステナ・インペロは拿捕された際、アラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラ港からサウジアラビアのアルジュベイル港に向かっていた。ホルムズ海峡からペルシャ湾に入る際に南側から入ろうとし、「必ず北側から入るという確立された手続きを無視した」という。同船は法的手続きや調査のためにイラン沿岸に誘導されたという。
同船を所有するスウェーデンのステナバルクと運航業者のノーザン・マリン・マネジメントによると、船員は23人で国籍はインド、ロシア、ラトビア、フィリピン。現地時間午後4時ごろにホルムズ海峡の公海上を航行中に正体不明の複数の小型艇とヘリコプター1機が接近し、約6時間後に同船が船員のコントロール下から外れ連絡不能になったという。
米当局者は19日、CNNの取材に、リベリア船籍のタンカー「メスダール」も同日拿捕されたと述べた。
ただ、プレスTVは軍情報筋の話として、イラン軍当局者はメスダールの拿捕を否定していると報道。同船が「短時間停船を命じられ、イラン当局から海上安全保障や無害通航に関する説明を受けた」と伝えた。
メスダールの運航会社「ノーバルク・シッピングUK」は声明で、タンカーが解放されたことを確認した。武装警備隊が船を離れ、自由に航行を継続できる状態だと船長が確認したという。船員は全員無事。
英国のハント外相は同日夕、「拿捕を極めて懸念している」と説明。「こうした拿捕は容認できない。航行の自由を維持し、この地域で全船舶の安全で自由な動きを可能にすることが不可欠だ」と述べた。