ロシア放射線観測所、謎の「沈黙」 軍実験場の爆発後
(CNN) 大気中の放射性粒子を監視するロシア国内の施設4カ所が、今月8日以降、明確な理由なくデータの発信を停止していることが分かった。核実験の監視を行う国際機関が明らかにした。
ロシアでは8日、北部にある軍の演習場でミサイル実験の手違いによる爆発が起き、核開発の専門家少なくとも5人が死亡した。
ウィーンに本部を置く包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)は、世界各地の監視観測所300カ所以上から集めたデータを基に、条約で禁じられている核実験が行われていないかどうかを監視する。ロシアと米国はともに同条約の署名国。
CTBTOによると、ロシア国内のドブナとキーロフにある放射性核種監視観測所からのデータ発信が爆発から2日後に途絶えた。CTBTOが定められた手順に従って直ちに観測所に連絡を取ったところ、通信ネットワークに問題が生じたとの報告が寄せられたという。
さらにCTBTOの上級職員はCNNに対し、ビリビノとザレソボの2カ所にある監視観測所からのデータ発信も13日に停止したと明らかにした。
CTBTOが世界各地に設置した監視観測所のうち、放射性核種監視観測所の数は80カ所。大気中の放射性核種を観測するこれらの施設のデータは、検知された爆発が実際に核によるものなのかどうかを判別するうえで唯一の明確な証拠になるとCTBTOは説明する。
8日の爆発について、米当局者は原子力推進式巡航ミサイルの実験だったとの見方を示している。このミサイルは、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の間で「SCCXスカイフォール」の名で知られる。
ロシアのプーチン大統領は19日、爆発に伴う放射線レベル上昇のリスクは存在しないと強調。現在予防的な対策が取られているとしたうえで、独立機関の専門家がすでに現地入りし、状況を注視していると付け加えた。