新型コロナ起源の再調査呼び掛け、中国の人権問題に懸念も G7首脳
ブリュッセル(CNN) 英国で開催の主要7カ国首脳会議(G7サミット)は13日、新型コロナウイルスの起源に関する新たな調査を呼び掛けた。当初の報告書は中国政府が協力を拒否したために不十分なものだったとしている。
G7首脳は中国の人権侵害についても言及し、この問題については非公開の協議で激しく議論された。
G7はロシアについて、ランサムウェア(身代金ウイルス)を使ったサイバー攻撃を行う通信網の隠れ場所になっているとして、国内の犯罪活動に対し、さらなる対処を行う必要があると指摘した。
新型コロナウイルスの収束に向けた取り組みと将来のパンデミックに対する準備についても骨子を示した。G7首脳は新型コロナウイルスワクチンを20億回分提供することを共同で約束した。
G7サミットでは気候変動も主要な課題で、共同声明で、2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロとする目標を掲げた。
G7首脳はバイデン米政権の掲げる「より良い世界の再建」というスローガンを採用した。
ジョンソン英首相は記者会見で、G7の各国が世界に対して新型コロナウイルスワクチンを提供するという取り組みに特に満足していると述べた。G7は、すでに提供を計画している10億回分のワクチンに加えて、来年までに10億回分のワクチンを提供すると明らかにした。
米国の当局者は、共同声明における中国への言及がバイデン大統領の手腕だったと指摘した。バイデン大統領は各国首脳が中国に対し、より強い姿勢で臨むよう説得しようとG7サミットに参加した。バイデン大統領は民主主義国と専制主義国との競争を初外遊の中心的なテーマに据えて、他の民主主義国の指導者が専制国家に対してよりはっきりと批判することを求めている。
ただ、中国を実存的な脅威とみなす考え方については一部の指導者から抵抗も出た。13日に発表された共同声明では特に農業やソーラー、衣料分野における国による強制労働について「懸念」が示された。共同声明では中国に対して、新疆ウイグル自治区の人権の尊重や、香港の高度な自治、南シナ海における安全保障環境の悪化を避ける取り組みを呼び掛けた。