カトリック多数派のサンマリノ、中絶容認 国民投票で
(CNN) 欧州の小国家でカトリック教徒が多数派を占めるサンマリノで30日までに、妊娠12週までの人工妊娠中絶を合法化することの是非を問う国民投票が実施され、約77.30%が賛成する結果となった。
また、12週を過ぎての中絶は、母体の命に危険が及んだ場合や、胎児の先天異常が原因で母親に身体的な被害などが危惧される場合も認められることになった。
国民投票の投票率は41.11%と低調だった。同国の公共放送であるサンマリノRTVによると、エレナ・トンニーニ内務長官は国民投票の結果を早急に法制化する考えを示した。
同国では1865年以降、中絶を禁止する法律がある。違反した場合、妊婦には禁錮3年、中絶を実施した当事者に約2倍の刑期が科される。このため中絶を望む女性は隣国イタリアへ行き、手術を受ける事例が多かった。
サンマリノはイタリア半島北部に位置する内陸国で、人口は約3万3000人。女性の権利擁護などを含めた社会的な変革の歩みは速いとは言えず、女性が投票権を獲得したのは1960年で、政治的な事務所を開く権利は74年に認められていた。離婚の合法化は86年だった。
欧州内ではマルタ、アンドラやバチカン市国などが妊娠中絶を依然禁止している。人工妊娠中絶に関する国あるいは地域レベルでの直近の判断では英領ジブラルタルが今年6月に住民投票を実施し、厳しい規制を緩和することを決めていた。