「貯金返して」 銀行に抗議の集会、治安当局が参加者に暴行 中国
銀行支店前の通りをはさんで反対側には、制服姿や私服姿の警官や治安当局者数百人が集まり、現場を包囲した。
にらみ合いは数時間続いたが、午前11時ごろ、治安当局が突然、階段に突入して集会参加者と衝突。参加者はボトルなどを投げ、現場はたちまち混乱に陥った。
目撃者の証言やSNSに投稿された映像によると、治安部隊は集会参加者を階段から引きずり下ろし、抵抗する相手は女性や高齢者でも殴りつけた。
山東省から来たという女性はCNNの取材に対し、警備員2人に突き飛ばされ、腕をひねられて負傷したと語った。深セン市から来た27歳の男性は、7~8人の警備員に蹴られて連行されたと話している。
多くの人たちは、治安当局に突然暴行されたことにショックを受けていた。
山東省の女性は「なぜ政府の職員が私たちを殴るの? 私たちは自分の貯金を取り戻したいだけの普通の人々で、何も悪い事はしていないのに」と訴えた。
集会参加者はバスに乗せられ、市内のホテルや学校、工場などで一時的に勾留されたと証言した。病院に運ばれた負傷者もいた。多くはその日のうちに釈放されている。
この地域を管轄する鄭州市の警察は、コメントを求めたCNNの電話を切った。
10日夜、河南省の銀行規制当局が声明を発表し、地方銀行4行の顧客の預金に関する情報については、関係部局が確認の取り組みを加速させていると説明。「この問題に対応するための計画を、近いうちに発表する」とした。
鄭州市に隣接する許昌市の警察は10日遅く、河南省の地方銀行を2011年から実質的に支配していたとされる「犯罪組織」のメンバー複数を逮捕したと発表した。容疑者らは持ち株を利用して銀行の経営陣を操っていたとされ、架空融資を通じて不正に資金を移転していた疑いがもたれている。資金の一部は差し押さえられ、凍結されたとしている。