地震被害のトルコ、政府の対応に怒りの声も
(CNN) 大地震に見舞われたトルコで政府の対応に批判の声が出ている。エルドアン大統領は「不十分な点」があったことを認めたものの、政府は地震後の対応への怒りの声が強まるなか、ツイッターへのアクセスを制限した。今回の地震ではトルコとシリアで1万5000人以上が死亡している。
シリアとの国境に近いガジアンテップ県が6日未明に地震に襲われた後、救助隊は、凍てつく寒さのなか、がれきの中から生存者を救い出すために時間と戦っている。トルコの準備態勢に対する疑問が持ち上がるなか、世界保健機関(WHO)の直近の試算によれば、今回の地震で最大2300万人が被災した可能性がある。
ガジアンテップの市内には、かつて住宅がたっていた場所にがれきが積み上がっている。生存者の捜索が懸命に行われているなか、救急隊は、がれきにとらわれた住民の生命の兆候を確認すべく、一定の間隔を置きながら、周辺の人々や重機に対して、音を出すのをやめるよう呼び掛けている。
エルドアン氏は10県に対して3カ月間の非常事態を宣言した。災害対応当局は被害が大きかった地域に救急隊を派遣しており、保健省は野外病院の設置を発表した。
エルドアン氏は8日、複数の被災地を訪問し、「全ての必要な措置」を取ると約束し、国と国民が団結することで「誰一人として市民を置き去りにしない」と述べた。
エルドアン氏はこれより前、政府の対応への人々の懸念を認め、当初は空港や道路で「いくつかの問題があった」としたが、状況は「管理されている」とも述べていた。
エルドアン氏は、政府の地震への対応について「虚偽の中傷」をした「一部の不誠実な人々」に反論。「このような時期に、単なる政治的利益のために悪意あるネガティブキャンペーンを行うことは容認できない」と述べ、団結を呼び掛けた。
エルドアン氏は、不十分な点があったと認めながら、こうした災害に備えることは不可能だとも述べた。
トルコ北部では町全体が壊滅したとの報道が出て国民の中に不満が高まっていた。不満が高まるなか、トルコではツイッターの利用が制限された。
インターネットの活動を監視しているネットブロックスは8日、インターネットのサービスプロバイダーの段階でフィルタリングが適用され、ツイッターの利用者がサイトにアクセスできなくなったと明らかにした。
トルコの情報当局は、報道された規制について認めておらず、一部の利用者が目撃した規制の理由も明らかにしていない。ただ、トルコ警察は、複数の人々を拘束したり逮捕したりしたと明らかにした。地震に関するSNSへの挑発的な投稿などを受けたものだとしている。
この地図には現地時間7日2時半までに記録されたM2.5以上の揺れが示されている
トルコは、複数のプレートにまたがっているため地震が起こりやすいものの、今回のような大惨事は珍しい。
6日に発生したマグニチュード(M)7.8の地震は過去1世紀で同地域を襲った地震としては最も強力なもののひとつだった。トルコは1939年にもM7.8の地震に見舞われており、3万人以上が死亡した。99年の地震でも1万7000人余りが死亡している。
トルコの災害当局によれば、トルコでは5700棟以上の建物が倒壊した。トルコとシリアで多くの被害が出ており、今回の被害に建物が果たした役割を問う声が出始めている。
トルコ・イスタンブールにあるボアジチ大学のムスタファ・エルディク教授(地震工学)は、今回の地震で印象的だった建物の倒壊の仕方として「パンケーキ型」を挙げた。技師が見たくない種類の倒壊の仕方だとし、建物がそのように倒壊すると救出作業が非常に困難になると説明した。
エルディク氏はCNNの取材に対し、震災後のさまざまな画像が、設計や建設の質に大きな幅があったことを示唆していると述べた。エルディク氏によれば、地震後の構造物の破損は通常、部分的なものだとし、全壊することは建築規則でも実際の設計でも常に避けようとしていると語った。
米地質調査所(USGS)の専門家によれば、トルコの大部分は、非常に高い地震の危険地帯に指定されている。そのため、そうした地域の建築規則では、建設計画は今回のような種類の出来事に耐えるようになっており、適切に実施されていれば、ほとんどの場合、壊滅的な崩壊をさけることができる。
トルコは4つのプレートが交差する位置にあり、地震が発生しやすい
ただ、全ての建物がこうした現代の耐震基準に従って建設されているわけではなく、特に古い建物では設計や施工が不十分で衝撃の大きさに耐えきれなかったという。