中国の新外相、米国との対立を警告 ロシアとのつながりは擁護
(CNN) 新たに就任した中国の秦剛外相は7日、米国が方針を変更しなければ同国との「衝突、対立」は避けられないと警告した。就任後初の記者会見で、米国の政策に対する厳格かつ広範な非難を展開した。
秦氏は最近まで駐米大使を務め、慎重で実績を積んだ外交官との評価を築いてきたが、この日の語調は格段に好戦的なものとなった。米国政府による中国の扱いを「無謀なギャンブル」と形容し、「壊滅的な結果」を招くと警鐘を鳴らした。
「米国がブレーキを踏むことなく、引き続きスピードを上げて誤った道を突き進むのなら、どれだけガードレールを設置しても脱線は防げない」。北京で開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に合わせ、秦氏はそう強調した。
世界の2大経済国同士の関係は、過去数十年間で最悪の状態にある。先月には中国の偵察気球とみられる物体が北米上空を飛行し、米軍の戦闘機がこれを撃墜。関係悪化に拍車がかかっていた。
秦氏は7日、この時の米国の対応を過剰反応と非難。「本来避けられたはずの外交危機を作り出した」との見方を示した。
「米国は、中国との競争を求めているのであり対立を求めているわけではないと主張するが、実際のところ米国の言う『競争』とは全方位にわたる封じ込めと抑圧であり、生きるか死ぬかのゼロサムゲームに他ならない」(秦氏)
さらに米国のインド太平洋戦略について、北大西洋条約機構(NATO)のアジア太平洋版を構想していると示唆。排他的な地域ブロックを作ることで対立をあおろうとしていると非難した。
一方ロシアによるウクライナ侵攻以降、緊密さを増す中ロ関係については「世界のどの国にも脅威を及ぼしてはおらず、今後いかなる第三国によっても干渉や不和を引き起こされることはない」と語った。
台湾問題にも言及し、中米関係を支える政治的基盤の根幹であり、越えてはならない最初の一線との認識を示した。
中国共産党は台湾を自国の領土の一部とみなしており、歴史上一度も統治下においたことがないにもかかわらず、本土との「再統一」を目指す。その実現のためには武力行使も辞さない構えを見せている。