人体に有害な放射性物質入ったシリンダー消失、タイ発電所
バンコク(CNN) タイの原子力平和利用事務局は16日までに、同国中部の石炭火力発電所で人体に有害な放射性物質「セシウム137」が入った金属製シリンダー1個の消失が見つかり、懸命な捜索作業を続けていることを明らかにした。
セシウム137に触れた場合、がんなど深刻な健康被害につながる恐れもあるとして警告している。
ただ、同事務局は住民らにパニック状態に陥らないよう助言。知らずに接触しても健康への影響は放射線の強度の程度によると指摘。「仮に強度が高いなら最初の兆候は皮膚炎になるだろう」と説明した。
円筒形のシリンダーの長さは約30センチ、幅は13センチで、職員による今月10日の通常検査で紛失が判明した。シリンダーは石炭サイロの一部を構成し、灰の測定に使われているという。
発電所は首都バンコクの東部にあるプラチンブリ県にある。同県の人口は約50万人で、タイでも最高の評価を持つ幾つかの国立公園が位置する。
同事務局の声明によると、警察も加わる捜索作業にはドローン(無人機)や放射性物質の探知装置、ロボットも導入。周辺地域の廃棄物のリサイクル店も調べているとした。
地元警察は消失は2月に発生したとみている。発電所側からの正式な通知は今月10日だった。発電所に据えられている監視カメラの映像も分析しているが、撮影の対象範囲が狭い欠点があるともした。
盗まれたのか、リサイクル店に売り渡されたのか、あるいは置き忘れたのかなどは現時点で不明。
オーストラリア西部でも今年1月、セシウム137を含んだ小型カプセルが遠隔地の内陸部を走る道路沿いで行方がわからなくなる騒動が発生。鉄鉱石鉱山から保管施設への移送途中になくなっていた。6日間続いた捜索作業で見つけ出していた。
ただ、豪州のこの騒ぎはひとけも乏しい遠隔地で起きていたが、タイの場合は住民人口がはるかに多い場所で発生した違いがある。