中国の偵察気球、本国に情報送信可能だった
ワシントン(CNN) 今年初めに米国の上空を通過し、東海岸沖で撃墜された中国の偵察気球は、画像撮影や信号情報の収集のほか、リアルタイムで中国に情報伝送を行う能力を有していたことがわかった。この件に詳しい人物がCNNに明らかにした。
米政府は中国が情報の受信時に気球上のデータを消去可能だったかを確認していない。米国側が認識していない情報収集が行われていなかったか疑問が残る。
だが、この情報筋によれば、通過地域の上空を通る中国の人工衛星と比べ、気球が収集可能な情報がはるかに高度なものだったということはなく、米情報機関は過剰な懸念を抱いていないという。
当局はこれまで、米国が気球の航路を把握し、重要な地点の防護や信号利用の回避が可能だったとの認識を示している。
米情報機関は昨年、中国軍が制御し世界中で運用する気球群と呼ぶものについて、追跡手法を開発した。
米連邦捜査局(FBI)は撃墜した気球を調査中。当局によれば、気球のソフトウェアに使われたアルゴリズムや動力源、設計方法などについて情報を得たという。
CNNは国家安全保障会議(NSC)やホワイトハウス、国防総省にコメントを求めている。
当局者や情報筋によると、同様の複数の気球からなる監視プログラムは一部が中国南部・海南省から運用されている。米国は気球群の正確な規模を把握していないが、情報筋によれば、この数年間に少なくとも5大陸で24回以上のミッションを実施。米領空に入った飛行が6回前後あるという。
一方、中国は気球が気象観測用のもので、航路を外れただけだと主張している。米側も故意の動きでない可能性について評価を進めているが、当局は中国が気球を動かす一定の能力を維持していたとみている。