ロシアの次官、キューバから帰国途中に死亡 エリート層の不審死相次ぐ
(CNN) ロシア科学・高等教育省のクチェレンコ次官(46)が20日、飛行機内で体調を崩し、原因不明の死を遂げたことが分かった。ロシアのエリート層の間では不審死が相次いでいる。
同省によると、クチェレンコ氏は訪問先のキューバから帰国する途中で死亡した。
同省のウェブサイトに掲載された声明では、「クチェレンコ氏はキューバ出張からロシア代表団と帰国する飛行機に乗っていた際、体調不良を訴えた。搭乗機はミネラーリヌィエ・ボードイ市に着陸し、医師が手当てを試みた」と説明。命は助からなかったと言い添えた。
ロシア国営放送ズベズダによると、クチェレンコ氏の遺族は心臓疾患が死因になった可能性を指摘しているものの、24日に検視が行われる見通しだという。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は23日、記者団に対し、クチェレンコ氏の死因については認識していないと説明した。
昨年2月のウクライナ侵攻後にロシアを逃れたジャーナリスト、ロマン・スーペル氏はSNSテレグラムで、国外脱出の数日前にクチェレンコ氏と話をしていたことを明かした。これによると、クチェレンコ氏はスーペル氏の身の安全を案じ、ロシアを離れるよう促したという。
スーペル氏がクチェレンコ氏もロシアを離れたいのではないかと聞くと、「それはもう不可能だ。パスポートを没収された。ファシズムによる今回の侵攻が起きた後となっては、ロシアの次官を歓迎してくれるような世界はない」と語ったとされる。
スーペル氏によると、クチェレンコ氏は抗うつ薬や精神安定剤を服用していると語り、「大量に服用しているが、大した効果はない。ほとんど寝られない。ひどい気持ちだ。我々は全員、人質に取られた。誰も何も言うことができない。そうでなければ、虫のようにつぶされる」と話していたという。
ロシア人の不可解な死が関心を呼ぶのは、クチェレンコ氏のケースが初めてではない。
昨年には、少なくとも13人の著名なロシア人実業家が自殺もしくは説明のつかない事故で亡くなった。このうち6人はロシアの二大エネルギー企業と関わりのある人物だった。