ANALYSIS

「休養中」、解任、恐らく死亡 ロシアの消えた将官たちが明らかにする軍内の亀裂

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オレグ・ツォコフ中将はウクライナでの戦闘で死亡した将官の中で最高位の階級とされる/Kremlin Press Office

オレグ・ツォコフ中将はウクライナでの戦闘で死亡した将官の中で最高位の階級とされる/Kremlin Press Office

兵士から絶大な支持

ロシアの軍事ブロガーらが示唆するところによると、ツォコフ氏とポポフ氏はどちらも有能な軍人で、部下からの信頼も厚い。51歳のツォコフ氏はロシア軍の期待の星だったようで、2021年にはプーチン大統領も出席したクレムリン(ロシア大統領府)での士官候補生のための式典で演説している。

軍事ブロガーのライバー氏はポポフ氏について、兵士から絶大な支持を得ていたと説明。前線の兵士らは解任の知らせを受け、大変にやる気を失っているとした。「気取らない性格で頭脳明晰(めいせき)、誠実に職務に当たるポポフ将軍」というのが彼らの評価だという。

ポポフ氏が司令官として最後に発した言葉は自分の部隊に向けたものだった。「さようなら、私の最愛の戦士、最愛の親族、一つの家族よ。私はいつでもあなた方の手の届く所にいる。同列になってあなた方を支持することは自分にとって名誉だ」

忠誠心をかき立てる司令官を失うことは、迂闊であるだけでなく危険な場合さえある。

6月末には民間軍事会社ワグネルが武装反乱を起こし、一部の軍高官の能力と忠誠に疑義を投げかけた。このうちの何人かは、その後公の場に姿を見せていない。

ロシア航空宇宙軍の司令官で、ウクライナ侵攻の総司令官を一時務めたセルゲイ・スロビキン上級大将は、ワグネルのトップ、エフゲニー・プリゴジン氏から支持され、同氏と良好な関係を築いていた。反乱が進む最中には、幾分乱れたような格好で動画に登場し、反乱をやめるように訴える姿も見せていた。

スロビキン氏は総司令官に就任後の昨年11月、ヘルソン州からの「秩序ある撤退」を進めた人物だが、今年1月には任を解かれた。ワグネルの反乱後は姿を見せていない。

スロビキン氏の状況に臆測が渦巻く中、ロシア下院のカルタポロフ国防委員長は12日の動画で同氏が「休養中」のため姿を見せないと説明した。難航する戦争のただ中では興味深い状況と言える。クレムリンは、スロビキン氏に関する質問には国防省が答えるとの立場を取る。

カルタポロフ氏は13日にはポポフ氏にも言及。「当事者たちが問題を解決すると確信している」とした上で、有望な将軍であるポポフ氏は軍で仕事をするべきだとの見解を示した(カルタポロフ氏自身も、過去に第58諸兵科連合軍の司令官を務めた経歴を持つ)。

カルタポロフ氏は国防省に向けたように見られるメッセージも残した。「どのボスにも共通する最も重要なスキルは、問題を把握し、部下の話を聞く力だ。これを実行することが想定される人々が、既に話を聞き、把握し、これから行動を取ると思う」

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