増える高齢者施設、減る育児施設 高齢化進む韓国
しかし、今のところその成果は全く出ておらず、その影響は社会構造や日常生活に徐々に表れている。
韓国の聯合ニュースが韓国教育部の話として伝えたところによると、全国で学齢児童数の不足により、多くの小中高校が閉鎖に追い込まれているという。また韓国統計庁のデータによると、中学校と高校の総数は長期にわたって横ばいが続いており、15年からわすか数十校しか増えていないという。
ソウルの南に位置する大田(テジョン)市では、閉校した学校が、写真家や都市探検家らの人気スポットになっている。この学校の写真には、人けのない不気味な廊下や、野草が生い茂る校庭が写っている。
一方、高齢者人口の増加に伴い、高齢者向けサービスに対する需要が急速に高まっており、需要に追いつこうと奮闘するシステムに負担がかかっている。
韓国は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、高齢者の貧困率が最も高く、65歳以上の高齢者の4割以上が、OECDが定義する相対的貧困(収入が世帯の可処分所得の中央値の50%未満)に直面している。
OECDは21年の報告書の中で、「韓国の年金制度はまだ発展途上にあり、現在、年金を受給している世代の年金額は非常に低い」と述べている。
専門家らは、高齢者が貧困に陥る他の要因として、世界的な経済の動向や、子どもたちが親の介護をしていた古い社会構造の崩壊、さらに経済的困窮者への政府の支援が不十分であることなどを挙げている。
ここ数年の高齢者施設の急増は、これらの問題の一部を緩和するのに役立つかもしれない。しかし、医療や年金制度を支える上で極めて重要な若い労働者の数が徐々に減っており、韓国経済の将来に関する長期的懸念は残る。