増える高齢者施設、減る育児施設 高齢化進む韓国
韓国・ソウル(CNN) 韓国では高齢化に合わせて、介護施設が変わりつつある。
韓国当局は夫婦らに出生を促す取り組みを行ったものの失敗に終わり、国内の育児施設はわずか数年で約4分の1も減少した。
韓国政府の最新のデータによると、2017年に4万軒以上あった育児施設は、昨年末までに約3万900軒まで減少した。
一方、高齢化が急速に進む中、高齢者施設は急増している。韓国保健福祉部によると、17年には7万6000軒だった高齢者施設は、22年に8万9643軒に達したという。
高齢者施設には、老人介護施設や専門病院、さらに高齢者が社会サービスや保護制度を適切に利用できるよう支援する福祉機関などが含まれる。一方、登録済みの育児施設には、公共サービスだけではなく、民間や企業が運営する施設も含まれている。
この変化は、韓国が少子高齢化という長年の問題からいまだに脱却できていない証拠だ。韓国は世界で高齢化が最も急速に進んでいる国の一つである一方、出生率も世界最低水準だ。当局は、子どもの多い夫婦に金銭的インセンティブや住宅補助を提供しているが、出生率は15年以降、下降の一途をたどっている。
専門家らはこの低出生率の要因として、過酷な労働文化、増えない賃金、生活費の上昇、子育ての経済的負担、結婚やジェンダー平等に対する考え方の変化、そして若者の間で高まりつつある失望感などを挙げている。
韓国政府は、00年代後半には、出生を促す政策措置が必要との警告を発し始めていた。尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は昨年9月、人口を増やすための費用として、過去16年間に総額2000億ドル以上が支出されたことを認めた。