タリバン、政権奪取後に218人を裁判なしで殺害 国連報告
(CNN) 国連アフガニスタン支援団(UNAMA)は27日までに、イスラム主義勢力タリバンが2021年8月に実権を掌握後、超法規的に殺害した国民らは少なくとも218人に達するとの報告書を公表した。
タリバンは権力の奪取後、前政権関係者らの「一般的な恩赦」を約束していたが、順守はしていなかったことも示唆している。
恣意(しい)的な逮捕や拘束、拷問、虐待や強制的な失踪などは800件以上に上り、司法手続きなどを踏まずに殺害された218人はこの中に含まれるとした。
最も狙われたのは元兵士、元警官や治安当局の元要員らで、大半の迫害行為は政権を再度握った直後の数カ月内に起きたとした。
報告書によると、前政府職員や治安当局者に対する拷問や虐待は144件以上を記録。恣意的な逮捕や拘束は424件以上で、失踪の押しつけは少なくとも14件とした。
国連関係者が実施した被害者らの聞き取り調査によると、タリバンの治安機関要員はパイプやケーブルを使った殴打に加え、威嚇の言葉を吐き、虐待行為にも及んだという。被害者らの家族は、親族も逮捕されたり、行方不明になったりしたとし、遺体が数日後あるいは数カ月後に見つかったことを証言したという。
タリバンは前政権を駆逐した後、女性への締め付けも強化。大学などでの教育の機会を奪い、国連を含むNGOでの就労も禁止した。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のトゥルク高等弁務官はタリバンに対し超法規的な殺害などの実行者を処罰するよう要請。
一方、タリバン暫定政権の外務担当当局は、超法規的な殺人や前政権の公務員などを標的にした迫害を国家は容認していないと主張。UNAMAの報告書に添付された声明で、前政権の軍関係者が治安機関での活動歴が原因で逮捕、拘束あるいは拷問されたことは一切ないとも言い切った。