中国穀倉地帯で浸水被害拡大、食料安全保障の懸念高まる
(CNN) 中国北東部の穀倉地帯で豪雨が続いて大規模な洪水が発生し、14人が死亡した。農地の浸水被害も広がり、食料安全保障上の懸念が高まっている。
中国北部は7月下旬以来、台風5号(トクスリ)に伴う豪雨に見舞われ、北京郊外や河北省で100万人以上が避難、少なくとも30人が死亡した。
台風の北上に伴い、6日には吉林省の舒蘭市でさらに14人の死亡が伝えられた。
舒蘭市によると、死者の中には同市の副市長など当局者3人が含まれる。副市長は先週、救出活動中に洪水によって押し流された。別の当局者1人も行方不明になっているという。
隣の黒竜江省では、農地の灌漑(かんがい)に使われていた川が氾濫(はんらん)して田んぼが水没し、野菜のビニールハウスが破壊され、工場が損壊したと国営メディアは伝えている。
黒竜江省によると、両省をまたいで25の河川が警戒レベルを超え、決壊の恐れが強まっている。
水資源省は6日、吉林省と黒竜江省について、洪水に対する緊急対応レベルを4段階で上から3番目に高い「レベル3」に引き上げた。
中国共産党の機関紙、人民日報によれば、黒竜江省の省都ハルビンでは16万2000人以上が避難し、9万ヘクタール以上の農作物が洪水の被害に遭った。
新華社通信によると、尚志市では過去60年あまりで最悪の暴風雨のために、4万2575ヘクタールを超す農作物が破壊された。
黒竜江省のもうひとつの穀倉地帯、五常市でも相当数の集落や農地が水に浸かり、当局が被害状況を調べている。
中国の穀倉地帯として知られる黒竜江、吉林、遼寧の3省では、中国で生産される大豆、トウモロコシ、コメなどの穀物のうち5分の1以上が生産されている。