国連世界食糧計画の現地トップ殺害、21人逮捕 食糧不安長引くイエメン
(CNN) イエメン南西部のタイズで国連世界食糧計画(WFP)の現地事務所長が殺害される事件があり、同国内務省によると、警察が容疑者21人を逮捕した。
殺害されたのはWFPタイズ事務所のモアヤド・ハメイディ所長。WFPのシンディ・マケイン事務局長はハメイディ氏を「献身的な人道主義者」と形容して殺害を強く非難した。
ヨルダン国籍のハメイディ氏は、18年にわたってWFP職員として勤務。スーダン、シリア、イラク駐在を経て、タイズ事務所の所長として着任したばかりだった。
国連の21日の発表によると、ハメイディ氏は現地時間の21日午後に銃撃された。
イエメン内務省は22日、タイズの警察が24時間で21人の容疑者を逮捕したことを明らかにした。
タイズはイエメンで3番目に大きい都市で、イランを後ろ盾とする武装勢力フーシによって約7年間にわたり包囲されている。国連によると、そのために同市の住民のための必需品や人道支援物資の供給が阻まれているという。
イエメンでは10年以上も衝突が続く。中東で巻き起こった2011年の民主化運動「アラブの春」の翌年、抗議運動によって当時のイエメン大統領が失脚した。
14年にはフーシが首都サヌアを占拠して、当時の大統領を追い落とした。
国連によると、15年以降は、国際的に承認された政府を支援するサウジアラビア主導の有志連合が、イエメンの首都と北部の大部分を支配するフーシと戦闘を続けている。
この衝突で何万人もの民間人が命を落とし、国連の推計で1700万人が食糧不安に陥っている。深刻な食糧不安に苦しむ人の数は、年内に390万人に増えると国連は予想。飢餓に陥って危機的な状況が長引くことを避けるためにはWFPからの食糧供給が不可欠だとしている。