ガザのフォトジャーナリスト、イスラエルの空爆で死亡 生前に「反響呼ぶ死」望む

イラン人映画監督セピデ・ファルシ氏が共有した笑顔のハスナ氏(中央)の写真/Sepideh Farsi

イラン人映画監督セピデ・ファルシ氏が共有した笑顔のハスナ氏(中央)の写真/Sepideh Farsi

(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区での紛争を1年半現地取材していた戦争ジャーナリスト、ファティマ・ハスナ氏が、イスラエル軍による今週の空爆で家族7人と共に死亡した。

「もし死ぬのなら、反響を呼ぶ死を望む。緊急ニュースで流れたくないし、ただの人数で表されたくもない」。ハスナ氏は昨年8月、インスタグラムへの投稿にそう書き込んでいた。さらに「その死を世界中が耳にして欲しい。影響が何年にもわたって続き、イメージとしていつまでも残って欲しい。時間にも空間にも埋もれることなく」と付け加えた。

イラン出身の映画監督セピデ・ファルシ氏は、ハスナ氏を取り上げた新たなドキュメンタリーを制作していた。作品は来月のカンヌ国際映画祭で上映される予定。

ハスナ氏の訃報(ふほう)を受けてファルシ氏は18日、ハスナ氏と自身が写った写真をSNSで共有した。写真の中のハスナ氏は満面の笑みを浮かべている。ファルシ氏は写真に「私が最後に彼女に抱いたイメージは笑顔。今日も頭から離れない」とのメッセージを添えた。

ガザ保健省は18日、CNNの取材に答え、ハスナ氏の両親が16日の空爆を生き延びたと明かした。しかし両親は共に重傷を負っており、現在は集中治療室に入っているという。

現地の監視団体「パレスチナ人ジャーナリスト保護センター(PJPC)」は、ハスナ氏を追悼。当該の空爆はガザ市内にある同氏の自宅を標的にしたとの認識を示した。こうした攻撃はジャーナリストに対する「犯罪」であり国際法違反と非難した上で、ハスナ氏によるこれまでの力強い写真報道は、戦闘が人々にもたらす苦しみに光を当てたと称賛した。

イスラエル国防軍(IDF)は16日、空爆についてイスラム組織ハマスの「テロリスト」を標的にしたと説明。複数の措置を講じ、民間人に危害が及ぶリスクを最小限にしていたと主張した。IDFは当該のテロリストがIDF兵士とイスラエル市民に対するテロ攻撃を計画、遂行していたと声明で述べたが、詳細は明らかにしなかった。

ハスナ氏が写真を投稿していたインスタグラムとフェイスブックのフォロワーは3万5000人を超える。写真はガザで日常生活を送る困難や、イスラエルの空爆を受けながら生きる脅威を題材としている。

PJPCによれば、2023年10月7日のハマスの奇襲以降、ガザ地区で死亡したジャーナリストの数は212人となった。これは前例のない数字だと、多くのジャーナリスト団体が指摘する。

PJPCは国際社会に対し、すぐに調査を開始してジャーナリストの死亡に関与した人々の責任を問うよう求めている。

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