イスラエル、ガザ市で完全に機能していた最後の病院を攻撃 緊急避難で少年患者死亡
(CNN) イスラエル軍が13日に行った空爆で、パレスチナ自治区ガザ地区北部のガザ市で完全に機能していた最後の病院が機能不全に陥った。イスラエル軍はガザ全土で攻撃を激化させている。
今回の空爆による死傷者は報告されていない。しかし攻撃されたバプティスト病院を運営するエルサレムの教会によると、患者を急遽(きゅうきょ)避難させる中で、頭部を負傷していた少年1人が死亡した。病院に予告があったのは攻撃開始のわずか20分前だったといい、患者たちを路上に避難させなければならなかった。
この攻撃で、病院の緊急治療室や受付付近が激しく損傷した。CNNが入手した映像によると、隣接する教会にも被害が出た。

攻撃で損壊した病院内を猫が歩いている/Omar al-Qattaa/AFP/Getty Images
イスラエル軍はこの攻撃について、「(イスラム組織)ハマスが使っていた指令拠点」を狙ったと根拠を示すことなく主張した。ハマス側は反論している。
イスラエル軍はガザで地上作戦を拡大し、イスラエルとガザの間に巨大な緩衝地帯を設置。何十万人もの市民を、縮小し続ける沿岸部の区画に追い込んでいる。ガザ南部ではモラグ回廊の掌握を発表してラファを孤立させた。13日夜には国防省が「モラグの占領を完了した」と発表し、ガザ北部の境界区域もイスラエルの「安全地帯」の一部として拡張していることを明らかにした。
イスラエル・カッツ国防相は「主な目的はハマスに強い圧力をかけて人質返還に同意させることにある。ハマスが執拗(しつよう)に拒むほど、イスラエル軍の活動は激化する」と述べた。
国連によると、移動させられた住民は過去3週間で約40万人に上る。
当時バプティスト病院にいた患者はCNNの取材に対し、まだ自分たちが病院内にいた時に攻撃されたと証言。「みんなこの病院で死ぬのだろうと思った」と語った。
パレスチナ保健省によると、同病院は一時的に閉鎖され、患者らは別の3カ所の病院へ行くよう指示された。